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2007-04-19 01:48 | カテゴリ:レビュー(小説)
ジャンル:本・雑誌 テーマ:ブックレビュー
恩田 陸著 「朝日のようにさわやかに」
朝日のようにさわやかに 朝日のようにさわやかに
恩田 陸 (2007/03)
新潮社

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 短編集。同著「夜のピクニック」が面白かったので手にとってみました。色々な雑誌からのテーマ依頼による書下ろし作品が多い本作。そのためか、気色様々な作品が収録されています。作品によってジャンルは勿論、書く手法もまったく異なっていて、恩田陸という作家の広く確かな文章力に、ただ脱帽するばかりです。
 全14編の短編の中には、出版されている長編作品の番外編にあたる作品もあり、既刊の恩田作品も読みたくなってきます。
 奇怪で幻想的な恩田ワールド。彼女の放つ上質の「毒」を味わってみては如何でしょうか?
2007-03-17 22:51 | カテゴリ:レビュー(小説)
ジャンル:本・雑誌 テーマ:ブックレビュー
木地 雅映子作 「氷の海のガレオン」

 わたしはわたしの言葉を、文学とパパとママの言葉で培ってきた。考えごとも想像も、すべてその言葉たちで組み立てられる。それが学校ではまったく通用しないということに気づいたのは三年生のときだった。(本文より引用)

  各々が捉える周囲の情報を個々の主観の中で構築されたものが、その人にとっての「世界」である、とする。
 その一人ひとりをつなぎ合わせて、一枚の大きな絵~もっと大きな世界~を作ろうとすれば、そのパズルに合わない色や形を持ったピースがうまれてくる。それは必然だ。
  しかし、その一枚の絵は、そこに合わないピースを許さない。今にも崩れ落ちてきそうなピースには強力な糊を使い、無理やりつなぎ留めようとする。そして、いくらヤスリで磨っても、ペンキをかぶせても合わないピースは、外される。
  一枚の大きく明瞭な絵の前で、異色を呈し、いびつで未完成な、外されたワンピース。そんな光景を前にした時、あなたは何を思うだろうか。


 物語の主人公、斉木杉子は、「学校」という一枚の絵から外れた異色のワンピースだ。クラスメイトと自分の間には、橋の渡せない広い海があることを感じながら、毎日を過ごしている。 「異常と正常」は、作中言葉を変えて頻繁に登場する議論だ。その物差しは、杉子にとって学校と自分との距離を測る疑問であり、その結果「異常」と診断されることへの絶望や怒りを含んだ問題だ。

 「おかしいのは、あたしたちなの、それとも日本中がおかしいの。」
「たぶん俺たちだろ、少数派だもん。」


 しかし、そんな杉子達を前に、父はこう言い放つ。

 「天才はつらいのだぁ!」

 この作品は学校という枠組みを客観的にとらえながら主人公達を動かすようなことはしていない。「登校拒否」という言葉があるが、それはあくまで学校側からみた生徒の行動だ。確かに杉子は言葉上での「登校拒否」になるが、それは再び学校に戻りクラスメイトに言われるまで、杉子自身はもちろん、読者である僕にさえ実感の持てない言葉であった。
 それは、あくまで杉子の問題、一枚絵を通してではなくあくまでワンピースの視点で、集団というもの捉えている証拠だ。
 そして作品はストレートに、集団を前にした「個」の輝き、力強さを伝えている。
 それは杉子たちの持つ感受性の鋭さや、価値観、生き方を通して、伝わってくる。

 何が異常で何が正常なのか。そんな集団の中での視点は、人生でなんの意味もなさない。
 なぜなら「天才はつらい」のだから。作者の解答なのだろう。

 異色なピース達へ。一枚の絵を前に怯えることなく、先の見えない大海原を気高く航海するガレオン船なれ。
 作者は作品を通して、そう叫んでいるように思う。また、一枚絵の前であぶれたピースをみた時、哀れみや同情ではなく、その気高さに対する敬意を示して欲しい、という願いも込められているのではないか。
 杉子の物語は、最後にこう語られ、幕を下ろしている。

 今、だれかの夢を見ていたような気がする。

 集団の中でうつむきそうなった時、ぜひ一読して欲しい。








氷の海のガレオン/オルタ 氷の海のガレオン/オルタ
木地 雅映子 (2006/11)
ジャイブ

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~あらすじ~
十一歳の斉木杉子は、自分の言葉を持つがゆえに学校で居場所のない少女。
他人との絶望的な距離。氷の海を渡るような、その日常の中で、杉子は必死に自分を見据えようとする。

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