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2007-09-30 23:59 | カテゴリ:レビュー(エッセイ)
ジャンル:小説・文学 テーマ:お気に入り作品
 創造性がやかましく言われ出したのは、わずかながら、これではいけないという反省が生まれつつあるのを物語っているとしてよかろう。ただ、まだ、本当の創造の方法はほとんど考えられていない。(本文より)

思考の整理学 (ちくま文庫)思考の整理学 (ちくま文庫)
(1986/04)
外山 滋比古

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 アイディアの生み出し方、育み方をまとめた本。著者は言語学者・外山滋比古(しげひこ)さん。
 
 題名だけみるとよくある自己啓発本の一種に見える。しかし内実は、著者の思考スタイルがしっかり確立されており、そのどっしり構えたアイディア論の発展と掘り下げが、見事になされたものとなっている。
 まず、今の学校社会(といってもこの本が出版されたのは1986年だが)がいわゆる「グライダー人間」の養成工場になっている問題を指摘する。では「グライダー」から「飛行機」に生まれ変わるにはどうするべきか。そのための思考スタイルの見直しを説いている。
 「アイディアの形成」について、生活習慣や友人関係の中から見つめ直す反面、思考そのものが成される過程を考え、「メタ化」や「セレンディピティ」といった概念を用いて、アイディアの創造から昇華に至る道筋を具体化している。
 著者は「情報」を一次的、二次的、三次的なものに「次元分け」し、ではより高い次元に情報を持ってゆくためにはどうしたらよいかを考える。その方法として、上記で出した2つの他、「アナロジー」「触媒」「発酵」「エディターシップ」などの、普段聞き慣れない概念を多く登場させ、情報の高次元化(メタ化)方法を紹介している。この、アイディア昇華までに登場する様々な概念が刺激的で、面白い。(概念の詳細は是非読んで知って欲しい) そして、これらの概念を組み合わせていくことで、著者が最初に問うた「グライダーから飛行機への移行」が明快な数式のように導き出されるところに、一種の爽快感を覚える。
 後半の内容では、いざ論文や創作活動に取り掛かった際どのような問題を考慮すべきか、念頭に置くべきかが既知と未知、拡散と収斂などの対比から考えられている。また、「三上・三中」といった昔からの「思考の整理」の方法にも触れている。
 誰しも様々な問題と向き合い、解決へと導かなければならない時がある。その時、自身の思考スタイルが明確でなければ話にならない。自分が'アイディア,を生み出す過程を、ある程度想像することができるなら、それに勝る近道はない。けれど、それは決して一朝一夕で成せる技ではないと、読後痛感した。著者は40年創造性を追及し、やっとここまでの思考スタイルを確立した。そう考えると途方もない。
 だからこそ、今のうちに読めてよかった(できればもっと早く読みたかったが!) 読んでいない人には是非お薦めしたい。自身の創造的思考を捉えなおし、整理してみよう。

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