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2008-08-28 00:14 | カテゴリ:レビュー(エッセイ)
ジャンル:本・雑誌 テーマ:**本の紹介**
オルカをめぐる冒険
著(文、写真、イラスト):水口博也

 「オルカ」とはシャチのこと。著者水口博也は長年シャチを研究し撮影し続けてきた人物だ。
 本作品では水口氏がジョンストン海峡を旅していた時に出会ったシャチ達を中心に、ヨーロッパ圏のロフォーテン諸島やアラスカ、アルゼンチンのバルデス半島等に住む様々なシャチを観察する。そして自然の中で生きるシャチの行動と生態を事細かに綴っている。シャチはレジデント、トラジエント、オフショアという3種類に食性や行動範囲の観点から分けられていることや、波打ち際に乗り上げてオタリアを捕らえたり、数匹で魚の群れを追い込むなどの餌の捕り方があることなど、一般的にはあまり知られていないシャチの知識が多く盛り込まれている。また、水口氏ならではの貴重な写真と、丁寧なイラストがページの細部を彩り、1ページ1ページがとても味わい深い。
 
 読めば読むほどに、シャチの持つ知能の高さに驚かされる。平均50年以上生きるシャチは、それだけ狩猟や子育において高度な技を持っている。「海のギャング」なんて乱暴な呼び方は、読後改めたくなるはずだろう。
 最後に、海に流される化学物質がシャチにどのような影響を及ぼしているのかを記述している。シャチだけが特別影響を受けているというわけではないが、水口氏が懸念しているように海の汚染が広がれば毒素を除去する機能を持たないシャチの未来はどんどん危うくなる。その危機感をぜひ感じとってほしい。

 ページを捲るたびにしなやかさに翻り海面を踊るシャチ達。大海原を自由に泳ぎまわる彼らの世界に、思いを馳せてみよう。オルカの世界にようこそ。

《関連サイト》
水口博也のホームページ
ORCA LIVE(ポール・スポング博士によるオルカの研究&情報サイト)
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2008-04-25 18:57 | カテゴリ:レビュー(エッセイ)
「脳が冴える15の習慣――記憶・集中・思考を高める」
脳が冴える15の習慣―記憶・集中・思考力を高める (生活人新書)


 作者は脳神経外科医・築山節(つきやま たかし)さん
 脳を活発に機能させるために必要な習慣を、15個採り上げ、脳科学の観点からその習慣の重要性を説いた作品。15個それぞれが違った事項であり、内容が多面的であるものの、関連付けや段階付け、まとめがきちんとなされており、非常に分かりやすい。著者が実際に診た患者の症例など、多くの事例が盛り込まれており、例と自分の状態を比べながら読むことができるため、自己分析もし易い。意外なほどさらりと読めてしまうが、かなりの良書だ。

 さて、この本は読んで「へぇー」で終わらせてしまってはただの雑学本になってしまう。なので、僕もこの「15の習慣」のうち、幾つかを実践してみようと思う。以下にやってみたいこと・実際にやり始めていることをまとめてみた。

【15の習慣・実践事項】
15の習慣・実践


 1ヶ月継続してみる。5月末に、これらがどの程度できたか、どんな実感・結果が出てきたかを報告しようと思う。
果たして本当に「頭が冴える」のか・・・!
2008-04-16 22:15 | カテゴリ:レビュー(エッセイ)
ジャンル:小説・文学 テーマ:読書感想文
生物と無生物のあいだ
講談社現代新書
作者:福岡伸一

 理系の書物としては珍しいロングベストセラー。ずっと読んでみたいと思っていた作品だ。
 
 「自己複製機能を持つもの」というのが現在の「生命の定義」だ。対して作者は、「持続的な代謝」こそが生命だと主張している。シューンハイマーの同位体実験から感得した「動的平衡」という概念より新しい生命観にアプローチする、というのが本書の枢要だ。
 内容は15に章分けされている。作者:福本氏が自ら籍を置き研究に明け暮れたロックフェラー医学研究所を中心に、分子生物学発展の過程にあった科学者達の成功と絶望を綴った前半部(1章~7章)と、前半の流れを踏まえ登場したシューンハイマーの実験から新しい生命観を提唱する後半部(8章~15章)に分けられる。

 本書の良い点は、生命科学における基礎的な概念や歴史、さらには実験手法までをも分かりやすくかつドラマティックに演出してくれるところだ。高校生物で習うワトソン・クリックの二重らせん構造の発見の裏にあったドラマは衝撃的であり、知的好奇心をくすぐってくれる。「アンサング・ヒーロー」として採り上げられるオズワルド・エイブリーやロザリンド・フランクリンの業績の大きさや、ワトソンとクリックが「禁じ手」を使っていた真実に息を呑まずにはいられない。理系本にありがちないたずらな難解さは少なく、幅広い語彙と多彩な言い回しは舌を巻くほどだ。分子生物学に触れたことのない人には、かなり面白い内容のはずだ。

 残念だったのは、テーマである新しい生命観への具体性・一貫性に欠けることだ。「動的平衡」による持続的な代謝=生命の説明が乏しく、反証などもない。これはあくまで新書であり学術論文ではないことは承知の上だが、動的平衡の概念の説明を繰り返す後半部に「新しい生命観」なる斬新さは全くなく、むしろ科学者達にまつわる裏話の方がずっと面白い。本筋より"オマケ"の方が充実しているといわざるを得ない。読後知ったのだが、動的平衡も決して新しい概念ではないらしい。

 では、この本は何故絶賛されたのだろう?
 それは、わずか300ページ弱の新書の中にあって明快でかつ面白い分子生物学の本、というのがなかったためだろう。ハヤカワ文庫の愛読者や専門の学生以外では、分子生物学の話題など滅多に触れることはない。この本が「売れた」原因は本書の内容的な新しさに依るものではなく、生化学が持つ魅力を分かりやすく伝えそれを″ビジネス″化した点にあるのだと思う。
 
 なぜ、こんなに批判的に書いてしまったのか、自分でもよく分からない。
 悪書などでは断じてない。読んだことのない人にはぜひ読んでほしいのだが・・・生化学を専攻する学生として、二番煎じでがっぽり儲けた本書に対して、卑しい嫉妬感と反感を覚えてしまったことは、やはり否定できない(苦笑)
2008-03-23 01:14 | カテゴリ:レビュー(エッセイ)
ジャンル:小説・文学 テーマ:読書感想文
ゴトー式口説きの赤本 (講談社プラスアルファ文庫)ゴトー式口説きの赤本 (講談社プラスアルファ文庫)
(2004/12)
後藤 芳徳

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 ネタ本です。でも、本当にモテるかもしれない実践本。侮ってはいけない!(多分!)

 作者は後藤芳徳さん。風俗店を経営し上場させた、まさにその道の実力者。
 この本には、「こうすればモテる」という鉄則のようなものは書かれていません。「なぜモテないのか」という自己分析から始まります。モテない男はどうしてモテない? それを自ら実感して、始めて次のステップ、つまりモテる男になれるというわけです。

 モテない男の最たる原因として日常生活における女性との会話不足をあげています。
 モテる、モテない以前に、相手の言動に注意しない、自分をうまく伝えられないという根本的な問題です。対女性アガリ症をどうしたら治せるのか、後藤さんが示す対処策はなかなか荒療治なのですが、どれもが説得力のあるものでした。
 例えば「良い人はやめなさい」と言うものがあります。つまり、「良い人」に自分を落ち着けていることが、コミュニケーションをする上での妥協に繋がっていませんか?という問いなのです。だから、「良い人」でいるくらいなら、いっそ悪人になって自分への甘さと言い訳を捨てちまいなさい、と言っています。
 考え方は人それぞれですが、自分が「良い人だ」と思い込んでいた一部読者にとって、これは強烈なパンチです。

 実際に、女性とのコミュニケーションが取れるようになったらいよいよ次のステップ。「好きな女を口説く」ためにはどうするか!
 「心のコップ」というキーワードを元に、後藤さんならではの女性の心理学が展開します。
 相手の心のコップが伏せられている状態。ここに水を入れるためにはあなたはどうするべきなのか。
 そのためには「コップを裏返すこと」と「コップに水を注ぐこと」が必要になってきます。女性はコップの「裏返され方」にどんな方法を求めているのか、どのタイミングを求めているのか。注意深く相手を見ることと、自分の気持ちを客観視できる冷静さ。相手との呼吸をあわせる間合い。それぞれに対し、その重要性を経験から述べて、やはり実践を促しています。

 この本の面白いところは、結論を急がず、読者に実感からの理解を求めている点です。
 そして、恋愛本とは名ばかりで、実はコミュニケーションの本質を考え、実践するための教養本となっているところ。読み進めていくうちに、この本の持つ含蓄深さと、味わい深さに唸ってしまいました。

 さて、実際に僕も実践してみました。
 「心のコップ」を意識して、一番好きな子の「コップを裏返してみよう」と話しかけてみたのです。
 結果は・・・残念無念なものでした(泣)

 理解するのは簡単ですが、習得するのはやはり難しそうです。
 でも、「コップ」を意識した方が、会話は俄然楽しめます。
 相手のコップをうまく裏返し、綺麗にビールをついで、気持ちよくなってもらう。この一連の動作は、ぜひ身に付けたいですよね。どうしたら楽しく会話ができるのか、悩む人はぜひ読んで、実践してみてください。
2008-03-19 16:42 | カテゴリ:レビュー(エッセイ)
風の名前

表現方法を広めようと思って手を出した一冊。
春・夏・秋・冬と、季節ごとに風の名前を分類してくれている。
僕はノートを用意して、「面白い」と思った風の名前を書き写しながら読んでみた。
 
 まず驚いたのが、名前の多さだ。
「春」分類のものだけで、僕が知ってる風にまつわる言葉の語彙をはるかに上回っていた。
以下、僕の知らなかったものをいくつか紹介する。
「吹花擘柳」・・・花をそっと吹き開かせ、また柳の芽を咲き分けるようにそっと吹く春風。すいかはくりゅう。
「薫風」・・・若葉の間を吹き抜けて、初夏の香りを運ぶ南風。くんぷう。
「鷹風」・・・雲を凌ぐほど、天高く勇壮に飛ぶ鷹を秋風が乗せるところからきた。ようふう。
「雪颪」・・・雪を交えて山から吹き降ろす風。ゆきおろし。


 読んでいて気づいたことは、これら「風の名前」が風だけでなく、風の吹く場所そのものを描写していることだ。「光風」は春の白い光の中をそよぐ風だし、「色なき風」は秋の物寂しい場所に吹く冷たい風だ。
 風を感じて名前つけようとした時、それは風というよりその場所・その時間を名付けることになるのかもしれない。その地方にしか存在しない風の名前も沢山出てきた。

 
 その風の持つ情景や匂い、名づけた人の心情に、思いを馳せながら読んだ。
 それぞれの名前が持つイメージにくすぐられて、ふと星野道夫さんのエッセイにあった一節を思い出した。
 「風は、地球上で最も軟らかい『化石』なのだ」 星野さんが何度も引用していた言葉だ。
 そうかもしれない。
 
 もし素敵な「風」と出会ったら、その姿や匂いを感じてみたい。
 その時今日覚えた風の名前を思い出せたら、ちょっと嬉しい。
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