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2007-10-18 01:57 | カテゴリ:レビュー(語学)
ジャンル:本・雑誌 テーマ:**本の紹介**
日本語練習帳 (岩波新書)日本語練習帳 (岩波新書)
(1999/01)
大野 晋

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 著者は国語学者、大野晋さん。
 単語、文法、語用法、読解などを5つに項目立てし、問題を解き、解説による答え合わせを行いながら読み勧めていく作品。傍らに筆記用具とノートは必須だ。
【1章】「思う」と「考える」の違いから展開される第一章。言葉の微妙なニュアンスを問う。意味はほぼ同様でありながらも用法の大きく異なる漢字について語源を辿ることでその違いを解き明かす。単語を解剖する方法と、単語への感受性を鋭くする習慣を身につける。
【2章】主述の関係をパターンに分け、「読みやすい文章」と「読みにくい文章」の違いを問う。日本語の基本は主述を結ぶ「は」と「が」にある、と言い切る著者の文法論が光る。
【3章】うっかり書いてしまいがちの、「のである」口調と「~が」の連続した文章。読む側に与える印象と読みやすさを考えながら、問題点を抽出、添削する。
【4章】1~3章までの内容を用いて文章の「縮約」に臨む。還元、読解、創作能力を総動員して行う「縮約」によって、文章の骨格を見出し日本語の体系を実感する。この作品の醍醐味といえる章。
【5章】最後に、敬語の用法を尊敬、謙譲、丁寧語それぞれのルーツを辿り理解する。

 各章の内容は上記のようなものだ。巻末には問題の配点表があり、自分の得点から現状の日本語への理解力が振り返ることができるようになっている。偉そうに色々と書いてしまったが、私の自己採点は250点中160点。(ちょっと甘くつけたのに・・・)まだまだ理解不足だと実感させられる。
 テストは悔しい思いをしたが、読み物としてもこの作品は面白い。著者は読者の文章技術向上のために本作を書かれているが、表面的な技術習得などは全く目的としていない。問題と向き合い、考え、答えを出す過程を通して、日本語の持つ奥深さと味わいを実感して欲しいと思っているのだろう。読み勧めるうちに、言葉に対し感覚が研ぎ澄まされていく実感と楽しさを覚えた。また、有名な学者や作家であっても歯に衣着せずにズバリと切る著者の言葉は、力強さと確かさを持ち、新鮮であり刺激的であった。
 大きな概念や現象を捉える時、そして発信する時、自身を形作る言葉の本質を掘り下げた人とそうでない人では言葉の重みが違う。著者は志賀直哉をズバリと切った。志賀作品をほとんど読んだことのない私にはそこに何の判断も下せないが、それをするだけの言葉の掘り下げと向き合いが、著者はできていることは頷ける。そしてそれは実際に何度も自問し、書き出してみないと習得できないものなのだろう。
 著者がなぜ練習帳という形式をとったのか。最後に作中から一文引用する。

 極意というのは実は簡単なものです。その言葉だけを見るとそれは簡単です。しかし、その言葉が指す事実がいかに広く深いかを、実際を通して感得できるに至ってようやく、極意書の文章の意味が分かるようになったといえるでしょう。

関連サイト
ことばをめぐるひとりごと


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